スライムレース全特技考察

 いたるところで「運」が戦況を左右するスライムレースにおいて、戦略や戦術といったものに果たしてどの程度まで意味があるのか、と訝しむ向きもあるかもしれない。熟慮に熟慮を重ねた末、「全てが裏目…!」という経験が積み重なり、ホフマン状態に陥った人も少なくあるまい。

 しかし少なくとも、そこに一種の「読み合い」が発生する以上、自分の持ちうる手札についての正確な知識を持っておくことは、それを持たない相手への明確なアドバンテージとなる。

 そんなわけで、スライムレースにおける全特技について、ちょっとばかり細かく考察してみた。こうした攻略が幸運の女神さまの御加護の前には添え物に過ぎないという事実は曲げようもないのだが、せっかくなら自分の戦うレースがどんな要素で成り立っているのかを知っておいた方が、観戦するのもいっそう楽しくなるというもの。読み物のように扱っていただければ幸い。

特技の基本

3すくみ

 スライムレースにおける特技は大きく【妨害・防御・加速(回復)】に分類される。これらはいわゆる「3すくみ」の関係を成しており、妨害は加速の、加速は防御の、防御は妨害の、それぞれ裏を突いた選択肢として機能する

 ホイミはちょっと例外なのだが、これも「妨害をせず、自分は無防備」という意味では加速に近い選択肢である。また、「特技不使用」というのもこれに近い。相手の妨害はないと踏んでMPを温存することは、他の特技枠により大きなリソースを割くことを可能にするという意味で、防御へのアンチである。

ブラフとしての所持特技

 もう一つ大事な点として、特技には単に使用時に発揮する効果以外に、「見せ」としての力がある。つまり「ブラフ」だ。

 たとえば妨害特技を一つでも持っていれば、それを使用するしないに関わらず相手はその存在を警戒せざるを得ない。逆に、そもそも特技欄に妨害特技が無い場合、相手から見たこちらは「2種しか手を持っていないジャンケンのプレイヤー」となってしまう。

 レースは4人対戦なので、あえて自分の手を1種類削ってしまう戦略もありうるが、基本的には【妨害・防御・加速(回復)】の3種すべてを特技欄に取り揃えておくことが「読み合い」の前提となる。

結局はタイミング

 とはいえ、そうした「読み合い」が綺麗なカタチで発生するのは、特技発動タイミングが定められている開始直後の1枠のみである。その後は、ちょっとしたジャンプの出具合、特技の決まり具合、避けられ具合などで各々の発動がズレこんでいき、むしろ綺麗な読み合いが発生することの方が稀になっていく。しかし、そうであっても「本命の読み」を用意するのとしないのとでは勝率に大きな差が出てくるのは間違いない。駆け引きを軽視しすぎず、また期待もしすぎず、人事を尽くして…という気持ちで勝負に臨むことが肝心。つまり「しんじるこころ」だ。

各特技の性能評価

 今現在、明らかにできた限りで各特技の詳細な性能・特徴をまとめてみる。まだまだ拾いきれていないトコロも残っているハズなので、ご自身の知識で補完しながら読んでいただきたい。

ぼうぎょ【消費3 一定時間すべての妨害を無効化】  

 基本の防御特技。すべてのスライムが初期習得。全体妨害が荒れ狂う通常のレースでは必須となる。コレがないとAI相手にすら蹂躙される恐れがある。

 実際にどのくらい使うかはともかく、「見せ」の段階でこの特技が無ければ相手にやりたい放題を許すはめになるので、代替特技である吸収バリアがない限り、この初期特技を忘れさせるのはかなりのリスクがある。吸収バリアにしても消費が大きく「すかし」に弱いことを踏まえると、やはり基本的には最後まで所持しておきたい特技。

メラ、ヒャド【消費1 先頭の相手を転倒させる】

 スライム、スライムつむりが習得可能。なにせ消費MPが1なので、使い勝手はいい。自分がビリでなければ、先頭の没落は自分の2位入賞を大きく手元に近づけるので、こうした特技の価値は全体妨害と比べても決して低くない。ただしブラフとしての力はかなり弱くなる。つむりなどで前半は後ろにつく戦略をとる場合は、トップランナーの独走を防ぐためにこうした特技の重要度が特に高くなる。せっかく低燃費なので、余ったMPで使うための大技を合わせて習得しておくのも忘れないようにしたい。

 なお、条件はハッキリしないのだが、ある程度1位との差がつきすぎた場合などに、1位がまだ存在するにも関わらず2位の走者にターゲットが変更されることがあるようだ。

どくどくだま【消費2 先頭の相手を転倒させ、スタミナに5ダメージ】

 バブルスライムが習得可能。スタミナダメージが追加された分、メラにくらべて消費が1増えている。消費2という特技は最大MPがいくつであっても端数の消費に便利であり、相手に転倒⇒スタミナ切れという悪夢(≒ストレス)を与えることもできるなど、特技ポテンシャルは高い。つむりのラリホーにしてもそうなのだが、バブルとつむりのステータス傾向がこうした先頭妨害特技の存在を前提しているからこそ、彼らにだけやや強力な先頭妨害特技が与えられているのかもしれない。

ボミエ【消費2 先頭の相手のスピードを低下させる】

 先頭妨害特技。メラ、ヒャドの転倒と異なるのは、相手が速度を落としたままに走り続けるため、実質的にスタミナを奪う効果を発揮する点にある(転倒中はスタミナが減らない)。つまり、どくどくだまの下位互換という位置づけ。消費2なのでやはり使いやすい。ちなみにスライムナイトが習得できる先頭妨害はコレだけ。彼はいらないと言うだろうけども。

ラリホー【消費1 先頭の相手を眠らせる】

 スライムつむりが習得可能。転倒よりもやや長めに相手を拘束するが、めざめた相手はスタミナが回復している。スライム達はどんだけ寝起きがいいのだ。スタミナを与えてしまうことがせっかくの妨害効果を軽いものにしてしまう場合はあるが、基本的には長い拘束時間が十分にそれをペイしてくれる。つむりで先頭妨害をするのであれば積極的に採用可能な特技だと思われる。

イオラ【消費3 全ての相手を転倒させる】

 スライムナイトが初期習得。巷ではこれ一つでスライムナイトを種族最強ではと言わしめている注目特技。次のバナナセットの項で比較するが、全体妨害特技の中では頭一つ抜けている感がある。4枠全てでイオラを選択する「サブキャラレース権消化組」の存在は、それだけで一つの「環境」を作り上げかねないところがある。

 他の全体妨害と同様、吸収バリアというアンチの存在には注意が必要だが、相手からすれば「もっとも気軽に撃たれる妨害特技」として、ブラフとしての絶大な力がある。

バナナセット【消費3 全ての相手の前方にバナナを設置】

 全体妨害特技。消費もイオラと同じ3なので使い勝手はいいのだが、バナナが相手の特技使用タイミングと重なるとすり抜けられてしまうなど、不発に終わる確率がやや高い。また、相手のゴール直前に使用した場合もゴールエリアにバナナが設置されてしまい無意味となる場合がある。そのため、最終枠にセットするのはちょっとためらわれる。

 ジャンプで避けられてしまう、というのもよく見る光景だが、実はジャンプ中はそもそも全てに対して無敵なので、たとえバナナでなくイオラであってもタイミングさえ合えば回避されることに変わりはない。単に発動タイミングが違うだけである。やや使い勝手に劣るとはいえ、イオラを習得できないスライムナイト以外の種にとっては妨害特技の主力となりうる強特技といえる。

ボミオス【消費5 全ての相手のスピードを低下させる】

 全体妨害特技。こちらもボミエ同様、スタミナ奪取効果を持っていると思えば、イオラやバナナセットより消費が多いことにもやや納得がいく。またジャンプもヘボくなるので避けられたはずのバナナが避けられなくなる場合も。とはいえ、やはり消費5というのはかなり重い。さらに、ボミエ系特技の妨害機能は相手がスタミナ切れから回復に入ってしまった場合は回復中に消化されてしまうという点も、これらの特技の期待値を計る際には勘定にいれる必要がある。

 使う場合は、消費の大きさを考慮した上で特技構成をしておきたい。

ホイミ【消費2 自分のスタミナを10回復】

 妨害でも防御でも加速でもない、という特殊な位置づけの特技。「不発になる」ということがないため、どんなシーンでも確実な効能が見込める。消費が2なので余りMPの消化にももってこい。スタミナとスピードのステータスランクにもよるが、これを1回ねじこむだけでスタミナ切れを1回防げる、という具合になることが多い。できればそのあたりを計算ずくで使いたい特技だ。逆に何も考えずにセットすると無駄な一手になる場合があるので注意。

 加速系特技はスタミナ切れとかちあうと台無しになってしまう弱点があるが、事前にホイミを組み込むことでそのリスクをかなり減らすことができる。無敵アクセルとの相性がべらぼうにいい。

ピオラ【消費3 一定時間スピードを上昇させる】

 加速特技。妨害がないタイミングを見極めて用いることで、リードを作る。あまり早い段階でトップに立つと危険が増すので、だいたいレースの後半に使われる。とはいえ、これを書いている段階では「先頭妨害系特技」があまり流行っていないようなので、そうした環境なら使い所は問わない。

 同じ加速特技のダッシュには即効性で劣るが、消費が1少ないのはありがたい。またダッシュには存在しない「加速ジャンプ」で莫大な距離を稼げることへの期待値もある。

ダッシュ【消費4 一定の距離をダッシュする】

 加速特技。発動直後に一定距離を高速で進む。イオラやボミエなどの妨害と重なった場合でも、とりあえず一定距離を移動しおえてから妨害効果を受けるようになっている。同様のシーンでピオラが完全に潰れてしまうのに比べるとこの点で優れており、余分な消費1はそうしたトコロに支払っているとも言えそうだ。

 その即効性を活かすという意味では、リードした状況からの「逃げ切り」に使うのが定番。もっとも、後半での使用目的ならば無敵アクセルの方が採用されやすいが。

無敵アクセル【消費7 一定時間ぼうぎょ状態のまま加速する】

 加速と防御を同時にこなす強特技。もちろんそれ相応の莫大なMP消費量となっているが、ぼうぎょ(消費3)+ピオラ(消費3)の効果に、それを「同時発動」させることに対して追加のコストを要求されているという形だ。

 ともかく大きなコストを払うのだから、この特技を使った直後にスタミナが切れて不発、なんて事態には間違ってもなりたくない。その意味で、ホイミとの相性がバツグン。最終枠で安定した走りを見せるために使うのが王道だが、これはかなり読まれやすいので、まだスタミナに余裕がある前半の2枠あたりに用いてリードを作ってしまうのもアリ。「見せ」として特技欄にあるだけでも、よく読もうとする相手にとってはかなり厄介。この特技に対して重ねてくるとすれば加速特技しか考えられないため、「アクセルと見せかけての全体妨害」はなかなか成功期待値が高い。とはいえ、走者が4人いるので実際はそう単純ではないのだが。

スタミナ吸収【消費3 先頭の相手からスタミナを10吸収】

 バブルスライムが初期習得。相手を妨害した上に自身を回復する一粒で二度おいしい特技。それゆえ消費の大きさにも納得しなければならないが、決まらなかった場合に払い損となるコストの大きさは無視できない。

 とくに、吸収できるスタミナを自分のスタミナ維持に勘定していると、台本が狂った場合にはもはやリカバリーが効かない状況に陥ってしまう。とはいえ、逆に吸収量をまったく勘定に入れないのであれば、そもそもこの特技を使う理由がなくなってしまう。一見すると強特技だが、使い方はかなり難しい。チャンピオンシップで好成績を残すためにはこうした特技を使いこなす必要があるのかもしれないが、うかつに頼ると勝率を非常に不安定化させる危険もはらむ。

吸収バリア【消費5 一定時間すべての妨害を無効化した上でスタミナを回復】

 スライムつむりが初期習得。回復を兼ね備えた防御特技。決まればホイミと防御を同時に発動させたのと同義になる。全体妨害に対しては「見せ」としてかなり優秀で、イオラが荒れ狂う環境を想定するならばそのアンチとして非常に機能する。

 しかし、スタミナ吸収と同様、この特技の発動を計算に入れてレース台本を組むことのリスクは大きく、また消費が大きいため、妨害が薄そうなタイミングに対する予防的な防御にも使いにくい。できればこの特技を持っていても「ぼうぎょ」を所持していたくなるところだが、そうすると妨害・加速・パッシブのうちいずれかを手放すはめになり、結局は片手落ちな特技ラインナップとなってしまう。やはり強力な反面、使いこなすのはなかなか難しそうな特技。

急速回復【パッシブ スタミナ切れからの回復が早くなる】

 スタミナ切れでのタイムロスが半分ほどにもなる自動発動特技。スタミナ切れのロスが削減されるということは、さほど無理してスタミナ維持を考える必要がなくなり、またスタミナ吸収やボミエ系特技、どくどくだまに対しても一定の抵抗力を得ることになる。しかも、この特技に1枠を割いても残りで「妨害・防御・加速」の3種を揃えられるので、実質的なコストはゼロに近い。

 正直にいって、今回のスライムレースにおけるバランスブレイカーを一つ挙げるなら、この特技の存在だと思う。運よく習得できた場合はよほどでない限りチャンピオンシップまで残しておこう。ただし、はじめから計画ずくで「基本的にスタミナ切れを起こさない」状態を作っている場合、多少重要度は下がる。

まもりの貝がら【パッシブ 一定確率で相手の妨害を無効化】

 スライムつむりが習得可能。種類を問わず、妨害特技を一定確率で自動的に無効化する。だいぶ運任せな特技だが、そもそもこのレース自体が運に大きく左右されており、その運を自分に引き寄せるという意味ではとても強力な特技。
 ただ、同じパッシブスキルに急速回復があり、そちらがさらに安定した働きを見せてくれるため、この特技のありがたみがかなり霞んでしまうところがある。運よく両方を習得できたとしても、2つを残すにはやはり「妨害・防御・加速」のいずれかを手放すことになってしまう。
 つむりの初期ステータスにかなりクセがあることもあり、単独で見れば強力ながらも、実はなかなか陽の目を見ない特技であるようだ。