「ターン消費しない率」の真価を考える

turn ターンを消費しない
 うーむ、甘美な響きである。

 ターン制バトルなのにターンが減らない? なんだそれは、神なのか?
 ラーメンなのに麺が減らない? なんだそれは、神なのか? いやデブなのか?

 とにかく評価の難しい「ターン消費しない率」。クルーガーセットの効果が明らかになった時にも、コレをどう評価するかで悩んだ人もいるだろう。

 この効果の初出はアクセルギアなので、はるか昔だ。その内実の考察・検証はすでにたくさん行われてきた。

 けれども、最近Twitterなどで見ていると、この効果への評価の仕方が少しばかり偏ってきているような印象を受けた。

 車輪の再発明みたいな話になってしまうが、いまいちど「ターンを消費しない」ことの意義を考え直してみたい。
 ベテランさんよりも、新規に近い人向けのお話になるかもしれない。
 

火力への変換 

 多くの場合、この効果が持つチカラは「火力への貢献度」で測られる傾向にある。

 ターンを消費しなかった結果、単位時間あたりの行動回数がどのくらい増加するかすなわち火力がどのくらい増大するかという捉え方だ。

 この捉え方は、それ自体ひとつの発明と言えるほどに有用だ。もとより定量化しがたいこの効果をどーにかこーにか数値に落とし込むことで他の効果との比較を可能にしたのである。なんだそれは、神なのか?

 だがいっぽうで、この発明が画期的なだけに、ターン消費しない率を「火力貢献度」のみに還元しすぎる傾向もまた生じている様子だ。

「フォーチュンとクルーガーはどっちがいいだろう? どっちの方が火力が出るんだろう?」
という問いは、まさに問いの立て方がすでにして正解を限定しているという構図に見えるのだ。
 

動けなかったハズの時間

 ターンを消費しなかった場合、次のターンの訪れを待つことなくすぐにコマンドが開く。この消滅した「待ち時間」こそがトクした部分である。

 
<コラム>
 よく指摘されるように、ターン無消費の発動はかならずしもこのトクを約束していない。気まぐれ追撃や魔法使いの証の発動がそれを代替してしまっていたり、もとよりターンが余っていたり。
 10%でターンを消費しないとしても、10回に1回のペースで恩恵にあずかれるワケじゃない、という点は承知しておこう。 

 
 さて、ともかくも待ち時間がなくなったということは、本来、動けなかったはずのタイミングに何かができるようになった、というコトだ。

 「ターン無消費≒火力増大」というのは、いうなればこのタイミング全てをひたすら攻撃に費やした場合の式だ。しかし、実戦はそういうシーンばかりじゃない。我々はカタパルトではなく、生きた兵士である。

 わずかに早く行動できたことで、敵の行動をさえぎって殲滅できることもある。味方への回復・道具使用が間に合うこともある。真やいばなどのデバフをより最適なタイミングで付与できることもある。

 ピンポイントで効果が発動しなくとも、ちょっと前に発動した分で行動タイミングが繰り上がり、巡り巡ってこうした恩恵に繋がっている場合もある。

 確かに、どんな場合も「それって本当にターンを消費しなかったおかげなの?」という疑惑がついて回ることは否めない。
 メリットの具体化の困難さこそが、この効果の評価をムズかしくしている。「学校の勉強はなぜするの?」と子供に問い詰められた時に似ている。

 けれども、ターン消費しない率が戦況を少なからず左右した、というケースは想像以上に発生しているハズなのだ。ギリギリの戦闘をしている場合はとくにそうである。
 行動が繰り上がったことでたった1回でも味方の死を防げていたとしたら、それは「自身の単位時間あたりの火力が〇%上がった」といったメリットとは比較にならないほどの貢献になる。
 

もどかしさからの解放

 ここまではいわば「合理性」の面からターン消費しない率の評価をはかってきたが、こんどはちっとばかし感覚にうったえてみよう。

 みんな、コマンド欄は好きかい?
 わかりづらいから聞き方を変えよう。コマンド欄が開いている時間と開いていない時間、どっちが好きだい?

 待ち時間というのはもどかしい。戦いはいまだ続いているというのに、自分にはそれをどうにかするためのコマンド欄が与えられていないのだ。冬場、アツアツご飯を給仕したのに家人がなかなか食卓についてくれない時の気分である。冷めちゃう!

 ターン無消費は一度発動すると、たいていそこから2ターン分の待ち時間が消失する。
 それを本当に戦況に活かせるのか、という合理的判断はしばし忘れて、この「待ちがない」こと自体に思いを巡らせてほしい。
 解放感はないだろうか。

 もどかしさの削減。テンポのよさの体感。これもまたゲームを愉しむ上で「ターンを消費しない」ことの利点だ。
 「人は利益それ自体よりも『お得感』の方を好む」という命題が思い出される。
 

まとめ

 以上、2つの話を連結しよう。

 なぜ待ち時間にもどかしさを感じるのかといえば、「あと少しだけ早く動けたら、できるコトがあるのに」というシーンの存在をみなが感覚的に知っているからだ。ギリでしずくが間に合わない、ギリで蘇生を遮られて死んだ、などなど。
 モーションは出ていたのに行動できなかった、みたいなのが代表例だろう。

 こうした機会を削減できるのが「ターン消費しない率」なのだ。
 
 もちろん、DPSこそが全てを左右するような最速討伐のやり込みや、ターン消費しない率に行動を左右されるなんてあり得ないほどに突き詰めた闘いを挑んでいる場合であれば、話は違う。
 けれども、多くの人にとって多くの場合はそうではないハズだ。


 というわけで、「ターン消費しない率」には火力貢献ばかりでなく、明確化が難しいものの決して小さくないメリットがあるのだ、というコトを改めて主張してみた。

 巷ではトライバルが風虎の上位としてもてはやされる一方で、クルーガーはフォーチュンの陰でだいぶ過小評価されているように見えた。
 それが今回のお話を書こうと思った動機の一つなのだが、思うにクルーガーと比べたらトライバルの方が実はよっぽど微みょ…ゲフンゲフン。