無限蘇生戦術の未来を考える

「ゾンビ戦術」という呼称はわずかだがネガティヴなニュアンスを帯びている気がして「無限蘇生戦術」なんてヘンな言葉を使ってしまった。人間、ちょっとでも前か上を向いていたいじゃないか。

まぁとにかく、闘戦記で磨き上げられ、キラクリやイーギュアなどの討伐にも用いられるほどの汎用性を示した例の戦術のコトである。

無限蘇生戦術は強い。明らかに強い。あとで少しだけ分析するけれど、方法論としても完成していて、わりとスキの無い戦術だ。

そしてこの戦術は開発側としても想定外だったワケであり、ユーザーの発想が開発の上を行った事例の中でも、今回のソレはかなりドでかい意味を持っていると個人的には思っている。

…しかしだからこそ、こういう疑念というか、不安を抱いている人はいないだろうか?
「この戦い方、いつまでも使えるのだろうか」と。


今後もDQ10には新しいボスが登場する。そのとき、闘戦記のような強敵バトルならともかく、生半可な強さの新ボスであれば、たちまち同じ戦術で攻略されてしまうのではないか?
それが結果として「職業格差」あるいは野良環境の「構成固定化」問題などのカタチで噴出してしまうのではないか?


といっても現状のように、この戦術が目新しいものとして多くのプレイヤーに遊ばれている限りは、とくに問題はなさそうだ。ゲームの目的は「楽しさを生む」ことであって「バランスをとる」ことはそのための手段でしかないからだ。

ただ、この状況がずっと続くとは限らない。その状況を「楽しいとは思いがたい」プレイヤーが増加したその時にこそ、何らかの「手段」がとられる可能性はあるのだ。直近の例でいえば、戦士の真やいば調整、占い師の全面的弱体化なんかが該当するだろう。


そこで今日は考えてみる。
もしこの戦術がなんらかのカタチで「修正される」としたら、いったいどんなコトになるだろう? どんな手段が考えられるだろう?
 

無限蘇生戦術のキモ

 まずはこの戦術を分析してみよう。
 無限蘇生を成立させている要素は、単純化すると以下のようなモノだと思う。

① 蘇生後の無敵時間の活用
② カカロンという5人目の存在
③ 天地やキラパンが持つ下準備不要の火力
④ 多くの場合活用されているAIの性能

 天地、僧侶、そして多くの場合はAIを利用して構築されるこの戦術は、カンタンにいえば「非常に全滅しづらい」状況を志向した上でそこに安定した火力をも積載するに成功した事例だ。

 「全滅しない」「火力も出す」。「両方」やらなくっちゃあならないってのが「バトル」のつらいところだ。このバトルにおけるたった2つの要素を非常にシンプルに洗練したという意味で、無限蘇生戦術はある種の美しさすら持っている。…言いすぎ?

 さてさて、かりにこの戦術を弱体化させるのであれば、それを成立させている要素のいずれかをイジらねばなるまい。妄想の上に妄想を重ねて、その現実味を思い描いてみよう。
 

こんな調整はあるかないか

①蘇生後の無敵時間の短縮

 考えにくい

 利用している身としてもちょっとした「ズルさ」や申し訳なさを感じることすらあるこの「蘇生後無敵」。我々はむこうからスター状態のマリオが全力疾走してくるのを見るクリボーの恐怖を知らない。たしかに、ここに手をつければ無限蘇生戦術はあっという間に霧消するだろう。

 だが、これはまず無い。このシステムはもともと敵の「起き攻め」による理不尽な死のループを防ぐためのセーフティである。つまり、DQ10のバトルシステムの根幹に近い要素ともいえる。
 パソコンだったら絶対に隠しファイルである。そう簡単には触れられない。

 たとえばこの無敵時間をほんのわずかに縮めただけでも、邪神のバトルあたりには多大な影響が出る。そして、おそらく誰も幸せにならない。


②カカロンの弱体化

 考えにくい

 や、バランスだけを意識するならむしろカカロンこそがこの戦術の「元凶」であり、彼女に身を引いてもらうのは上策と言える気がするのだが、カカロンの弱体化はすなわち天地の弱体化であるという点が問題だ。あと、あのカカロン様に「ちょっと弱くなってください」なんて誰がお願いできる? ビンタされるよ? 

 天地はこのたびようやく出番が訪れた、遅咲きの職業である。実装当初の不遇を思えば、いまのような活躍ぶりはその「目新しさ」を含めて価値をもっている。その天地がこのタイミングで弱体化されたとして、我々はそれをこころよく思うだろうか。

 つまりここに手をつけると、たとえバランスが改善したとしても、プレイヤー側がそれが「良策」だと受け取る見込みが少ない。「他に手は無かったのか?」と思ってしまいそうだ。ゆえに、考えにくい。といっても、こういう観点を度外視するなら手をつけやすいポイントだとも思えるのだが。


③天地やキラパンの火力弱体化

 考えにくい

 天地に関しては先述と同じ理由だ。いま天地を槍玉に挙げるのは、どうにも苦しいハズ。職業コンセプトそれ自体を見直すような話になってしまう。
 
 キラパンの弱体化は、たしかに「AIの火力優位」という状況を改善する上では十分あり得そうな話だ。いなずまやしっぷうの威力をちょっと調整するだけでも済む。

 ただ、これだけでは無限蘇生戦術そのものへのテコ入れにはならない。というより、キラパンという存在が根本的に抱えている問題は別に「火力」自体ではないと僕は思っている。

 なんにせよ、天地やキラパンの火力を奪ったところで、代替手段はいろいろある。それを全部潰すわけにはいくまい。

 つまり「下準備不要の火力」という要素は、今後も特定職業の長所として活かされていくところのモノであり、修正対象にはなりえないと思う。
 

おわってないけど、おわりに

 本当は本命候補である④を書くところだったのだが、くっ、紙面が足りない!

 ここまでは「無限蘇生戦術が問題視される未来」を妄想した上で、「考えにくい」調整案を並べ、そこから無限蘇生戦術の本当の中核を洗い出そうとしてきた。

 そして詳しくは次回続きを書きたいのだが、こうやって考えていったとき、個人的に今のバトルバランスにおいて一番気になるトコロとして残るのは、やはり「AI」絡みだ。
 

 それを「問題視」するかどうかは全く別の話として、現状のAIは「人間にできないコト」をたくさんやっている。闘戦記は図らずもそのコトを満天下に知らしめたのだ。おそらく、AI絡みの調整なくして無限蘇生戦術をどうにかするコトは難しいんじゃないだろうか、というのが僕のつたない見解である。

papesi 僕らがそれを「遊びの幅」を広げるコトに繋げられている限りにおいて、世界は平和だ。そう、パペットマンが闘戦記Ⅲの舞台に立っているなどというような、あんな絵面が実現してしまう限りにおいて…。